柔らかな春の陽光が射し込む古びた車庫で、3両の上游型が微睡む。3両とも前照灯を2つに増強した、雪国らしい厳つい出で立ちだ。長い冬が終わり、しばしの安堵の時間といったところだろうか。

内蒙古自治区牙克石の五九煤砿に蒸汽ありとの情報を聞いて駆けつけたが、訪問時には既にディーゼルに取って代わられていた。それでも車庫の蒸汽には未だ石炭が高く積まれ、ともすればすぐに煙を吐いて走り出しそうな雰囲気すらある。ここの車庫は最初は見学を断られてしまったが、粘り強く交渉するうちに(タクシーの運転手も一緒になって説得してくださった)短い時間ではあったが撮影の許しが出た。蒸汽が動いていなくても、この車庫だけで来た価値があったというものである。

(2016年5月2日 中国内蒙古自治区牙克石 五九煤砿にて)


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